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一般財団法人北海道河川財団会長 北海道大学名誉教授(15代総長・放送大学名誉教授(5代学長))
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著作を2つご紹介します。



都市・地域 水代謝システムの歴史と技術
 



(本書「はじめに」から)

 世界や日本の社会システム、そして水の文明の将来はどのように展開していくのでしょうか。筆者が1950年代半ば水システムの技術とその地域社会への展開を学ぶ道に入ってから60年の月日が経ちました。この間、水についてさまざまな勉強を重ね、一生懸命に考えてきましたが、個人が先を見ることの高は知れていますし、しっかりとした知見を求め歩くには世界は広すぎますし、世の中の移り変わりは、求める構造を頭の中でしっかりと組み上げていくより早
くかつ複雑に動き、なかなか明確に事柄を示せないでいます。
 1970年代から考え続けて、「都市/地域水システム(水代謝)の閉鎖化」「多元化/多段化」「分散自立化」という概念が、近未来の人間社会を「隣人と共存」し、「他の生物と共生」して安定に作っていくために重要であろうと思ってきたことが、恐らく間違っていなかったと、現代世界の日々の展開の中で確信しつつあります。
 半世紀以上も働いているうちに、「Sustainable」という言葉が近年になって世の中に広く流布し、かねて考えてきたことを言っているのだと納得する一方、「環境の時代」といってもそれはいまだ近代そのものの上にあり、「成長を主目標」とし「学習可能な手順論」に寄りかかった「科学技術の巨大化/精密化」を駆動力とする近代を人類が抜け出すのは容易でないことだと改めて思う毎日です。近代の次の時代を「後近代」と筆者は長年称してきましたが、「PostModern」という言葉は芸術/文学などの分野ではすでに多く使われており、手垢の付いた言葉かもしれません。しかし具体に、近代の次の社会基盤システムを描いた実体的な物を見ることはあまり無いようです。
 そこで、今まで考え続けてきて、多分それ無しには次の時代(22世紀)に人類社会は渡れないであろうと考えている水システム構成を、筆者が半世紀余り体験し、学んだことを歴史の流れ/経過の一部と考えて、筋道立てて明らかにしてみたいと思います。個人の学習ですから、平衡を欠く理解/見方もあるかもしれません。参考資料として記したものは手元にあって勉強した資料で、そのほとんどは一緒に勉強をし仕事をした仲間や先輩からのものです。できるだけ論文や研究報告書のような専門家用のものは避けました。読者の学ばれた背景によっては、すぐには読み切れない箇所があると思いますが、そこは飛ばしていただいて全体を見た上で、また戻って読んでいただけたら幸いと思います。具体の中身が分からぬまま、世間の流れでものを考えたり言ったりすることがありすぎる今日このごろのように思います。面倒でも事柄をさまざまに見据えた上で、行く先を考えることができたら良いと思い、筆者が見聞きしてきたことを読者の参考としてまとめてみました。筆者の視点で書き進めていますが、同じ事柄を見て違う考えが生まれれば、世界をより広く柔らかく進めることができようかと思います。
 この春で、筆者は傘寿を迎えました。考え続けても、自らデータを作り、多量の資料を処理するのは理系のしかも工学という物作りの専門家としては、ある種の限界を感じる環境になっています。第7 章については、若い研究者/技術者の方が、これから先次々と、より説得力のある提案を具体のデータに基づいて展開していただけると幸いです。
 50年間の研究を支え続けてくれた、妻「綾子」にこの書を、感謝を込めて贈ります。
                                               (2012年初夏 丹保憲仁)
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○都市・地域 水代謝システムの歴史と技術(丹保憲仁著)
  頁数:478
  ISBN:978-4-306-08533-6
  発行日:2012年7月30日
  発行所:鹿島出版会





 



水の危機をどう救うか-環境工学が変える未来-
 


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○水の危機をどう救うか-環境工学が変える未来-
 【PHPサイエンス・ワールド新書(丹保憲仁著)】
  頁数:317
  ISBN 978-4-569-80925-0
  発行日:2012年12月4日
  発行所:PHP研究所

 書籍紹介~月刊「水」より~(pdf)









 

 
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プロフィール
HN:
丹保憲仁
年齢:
91
性別:
男性
誕生日:
1933/03/10
趣味:
カメラ
自己紹介:
・主な経歴
 水の安全保障戦略機構議長
 日本水フォーラム副会長
 北海道大学名誉教授(第15代総長)
 放送大学名誉教授(第5代学長)
 第89代土木学会会長
 第2代国際水協会会長
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