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一般財団法人北海道河川財団会長 北海道大学名誉教授(15代総長・放送大学名誉教授(5代学長))
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先月、積丹町余別にあるサクラマスサンクチュアリセンターにお邪魔してきました。

このセンターは、サクラマスの生態や余別川流域の自然の豊かさを紹介する施設で、森林や水資源などの環境保全を通じた保護水面の重要性や水産資源の増殖による漁業振興への理解を深める学習・PRの拠点となっています。

積丹町の環境生態系保全技術指導員の河村さんと松井町長がご案内くださり、いろいろと教えていただきました。お忙しい中どうもありがとうございました。



実は河村さんは、我が道総研のOBで、さけます・内水面水産試験場の場長を務められた後、松井町長から積丹町が目指す自然を生かしたまちづくりのためにと招かれ、ずっと研究を続けてきたサクラマスと積丹の森・川・海のつながりをベースにした地域振興に取り組まれています。

道総研では退職された研究職員OBの自発的な研究活動を支援するとともに、貴重な知識や経験を道総研の研究・広報に活かしていただけるよう「道総研フェロー」として登録する制度をつくりました。早速河村さんにも登録していただいたところであり、今後のご活躍の一助となれば幸いです。

道総研には長きにわたる研究活動の積み重ねがあり、歴史と伝統に培われた700名を超える研究職員がおります。こうした人材を最大限に活かして、今後も道民のみなさまの暮らしに貢献していきたいと思います。



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 地方独立法人北海道立総合研究機構が発足して、4年目の年度が始まります。独法の仕組みは5年を一期として、組織が運用されます。


 道総研は3年前に道立の理系の22の試験研究機関を統合して発足しました。2-3年の準備期間を経ての事です。百年を超える歴史を持つ研究所もあれば、時代に応じて次々と作られた試験機関もあり、対応する局面の広狭・精粗も様々であり、技術・研究者集団としての錬度も士気もそれぞれでした。


 この3年間は、総合研究機構としての創成期・立上期であり、1,200人の機構職員が未来の北海道のための総合的科学技術研究集団の形成のために力を合わせて働いてくれました。違う伝統や技術の分野で働いてきた諸研究機関が一夜にして総合性を持った組織に成る事は難しい事です。然しながら、私が理事長就任の折にお願いした、北海道の未来のために「少しでも広く」「少しでも深く」「みんなで力を合わせ」「急がずされど休まず(Haste Not 、Rest Not)」という努力を重ねて頂きました。おかげさまで、この3年間に、総合性を持った研究機関を創成したいという当初の望みに、着実で明るい進展が見られたことはうれしい事です。


 理事長として、創成期の3年を共に働き続けていただいた機構の皆様に敬意をこめて感謝の意を捧げたいと思います。また格別なご支援をいただいた、知事はじめ北海道庁の諸部局の皆様に御礼を申し上げたいと思います。


 第4年目になる平成25年度は、第1期中期計画5年の実質の仕上げの年であり、最終の26年度を第2期への準備の年と考えなくては、地方独立行政法人を継続的に充実発展させていくタイムテーブルは作れないと思います。北海道唯一の公設の総合研究機関として、目先の事を超えた視野と時間感覚で仕事を展開していくことが本質的に必要であろうと考えます。一昨年から、第2期中期計画をも視野の隅において、道総研が近未来の研究を進めていくに際して必要と思われる事柄の流れを、道総研本部・研究本部の研究企画集団の共同作業として、「道立総合研究機構基本構想」なる研究計画素案を検討してもらい、わが姿の「現在の有り様・あり得る近未来」を見つくろう作業を進めてきました。


 一方私は、外部からやってきて3年前にこの仲間に加わった理事長として、道総研の研究者集団を構成する諸研究所の個々人・研究グループの考え方・力量を自身の目と耳で確かな形で知りたいと考え、さらにまた60年弱の時間を研究者として働いてきた人間として、何かの経験を個々の研究者に伝える事が出来れば望外の幸いとも考えて、ほとんどの研究所を訪ねて回りました。ほとんどの研究員・研究グループと直接に話が出来て「道立総合研究機構の基本構想」の具体の展開を考える上で大きな財産を得る事が出来ました。畜産試験場と林産試験場の訪問は新年度に残りました。
 概括的な印象・理解を、誤解を恐れずに言うならば「ほとんどの研究員・研究グループは立派な仕事をしている」「少し広目に/縦割りを超えて/諸分野力を合わせてという、理事長着任にあたってお願いした総合研究機構の有りようは随分浸透し定着しつつある」という事です。特に長い伝統を持つ諸研究機関の広領域化・総合的視点への取り組みに傾聴すべき多くの展開がありました。
 ただ、「いい仕事をしているのに、もう一段の突っ込みがあれば全く違った展開が有りそうなのに、そこに気付いて居ない」「いくつかの研究グループは研究展開の総合的な視座に少し欠けるのではないかといった憾みのあること」にも気付きました。また、「努力は自分がするもので、評価は他人がするものである(自分がするのは自己点検で、評価ではない)ことが自覚されていないこと」が気になる場合が時としてあったことです。
 これらのほとんどは、研究主幹・研究部長などの指導力量の一段の向上・視野拡大によって短時間で解消される事であり、研究所の所長・部長の方々の指導力の一層の発揮に期待したいと思います。


 管理機構の運用について、出来るだけ簡素に迅速に日常の業務を運ぶことの努力を第1期の経験をもとに、次の展開のために準備し始めていきたいと思います。
 「書類をなるべく少なく」「ハンコの数は起案者・チェッカー・最終権限者の3つを目指す」「形式的な点検評価を最小限にして、研究責任者の適切な自己点検と研究所長・本部長自筆の評価書と理事会評価」「事務に関しては、Haste Not, Rest Not(急がずされど休まず)ではなく、適切迅速に処理するルールを考える」「法人でなら可能かもしれない専門性の高いスタッフを外部から招く」といったことも考えてみてほしいと思います。


 今年は,第一期の実質の仕上げの年になります。
 今までの3年間の努力は,プロセス向上についての努力でした。立派な進展であったと思います。しかし、第4年目は「それがどこに行くのか」研究の目的・成果の出口をしっかりと意識して事に処す段階に進みたいと思います。個人の力を組織としてどう結集できるかを固める年と思います。研究の「Out put」だけでなく「Out come」をどのように求めるかまで来て、始めて「総合研究機構」は態を成すと思います。「単なる付加価値の獲得でなく、科学技術の基本に根ざして、明日の北海道を作る基盤を固める」ことが出来るでしょう。道内最大の『科学技術研究集団』の一つとして、税金で働く公設研究機構の構成員として、『文明の基本価値の獲得と洗練』に力を傾注して、多様な社会・産業活動の土台を固めたいと思っています。健康に留意して、今年も「Haste Not、 Rest Not」で歩み続けましょう。『各員の奮励努力に期待します』

 平成22年4月に22の道立試験研究機関を統合し、地方独立行政法人として発足して3年が経ちました。独法の仕組みとして一期5年を区切りとして、組織が運用されます。第一期の3年が終わったことによって、「道総研」の姿を自らの努力でどのような形と中身に作りつつあるかが言い訳無しに評価されることになります。第4年目は第1期の実質の仕上げの年となるでしょう。第一期最終年の第5年は、仕上げというよりは第2期目への準備作動の開始年として、さらなる10年を見越しての組織を挙げての新たな努力を求められる年になるでしょう。様々な希望と努力については、年度の改まった4月にまた理事長所感として道民・道役職員・機構役職員の皆様に聴いて頂きたいと思っています。

 今日は、第1期3年の道総研創成期を共に努力した、69人の仲間が定年・退職で組織を去ります。58人の人が道庁に戻ります。長い人は道総研設立準備室から5年にわたり道総研創立のために働いて戴きました。昨年までにすでに去った人たちと共に創成期をになった1期生です。道立の試験研究機関に働いていた1,000人を超える研究員・技術者・船員の方々が、創立の準備から始まり今日まで、3年の日々を、縦割りの専門性を超えて,北海道の未来のために「少しでも広く」「少しでも深く」と力を合わせて、総合研究機構の新基軸の構築に日々の努力をしてくれました。これから長い歴史を刻む北海道の科学技術研究機構の、創成メンバーとしての日々の努力はこれからも消えることがなく受け繋がれて、新展開を重ねていくでしょう。
 
 理事長として、創成期の3年を共に働き続けた機構の皆さんに敬意を込めて感謝の意を捧げたいとおもいます。有り難うございました。これからも,「急がず」「休まず」 ( ”Haste Not, Rest Not“)を道総研のモットーとして歩み続けたいものと思います。

 第1期の立ち上がりの3年間に、道総研未来を担う新任研究員43名が創成期の戦力に加わりました。任期付研究員、新船員の加入をも加えて新しい血が組織を若返らせてくれ、50年先の未来を窺がうことも夢でなくなるでしょう。しがらみのない若い血に期待したいと思います。道総研の本当の一期生になってください。

 第1期の立ち上がり3年間、設置者の道知事・副知事・部局の皆様から、諸事多端な中を押して、暖かいご支援とご鞭撻をいただいてきました。また道民の皆様・現場の産業界の皆様・市町村の皆様から様々なご支援とご意見をいただいて、努力を続けることができました。また道議会の様々な会派の方からご支援を頂き、研究機構にまでお運びいただいて活動を見ていただき有難う御座いました。諸大学・国の諸機関・諸金融機関と連携活動を進めさせていただきご支援をいただきました。札幌市はじめ道内諸都市や様々な報道機関との連携をさらに進めることができれば幸いと思っています。

 単なる付加価値の獲得でなく、道内最大の『技術研究集団』として、税金で働く公設研究機構として、『文明の基本価値の獲得と洗練』に力を傾注して、多様な社会・産業活動の土台を固めたいと思っています。

 「北海道立総合研究機構」は、北海道立の22の研究機関を一つにまとめて平成22年に誕生した、北海道の総合的な研究機関です。地方独立行政法人という公的研究機関として活動しています。通称を『道総研』とつづめて表記しています。
 北海道経済の高度化や活性化を図り、道民の暮らしの安全と安定性の確保と利便性の向上を図り、夢と力のある北方圏文明の確立に寄与したいと、歴史ある研究所群を統合して平成22年4月1日に発足しました。農業・水産・林業・工業・食品加工・建築・環境・地質といった各領域の研究所に約1200人の職員がおり、800人の研究職員、研究支援職員(3隻の調査船船員を含む)と事務職員ほぼ200人ずつが、日々働いています。
 道総研を構成する幾つかの研究所の起源は明治初年の北海道開拓使の試験場群に始まり、日本がアメリカ経由で西欧近代文明の基盤構造を導入する過程で、札幌農学校(北海道大学)と並んで大きな働きをしました。後に国直轄の内務省北海道庁の研究所群として充実の歴史を刻んできましたが、戦後に都道府県が地方自治体となる際に北海道に直結する大部分が道立研究機関となり、一部国の各省庁に移った機能と分離して、今日に至っています。農業試験場、水産試験場などがその代表です。
 このように明治期から蓄積してきた100年を超える膨大な近代科学技術の観測と研究の歴史的成果の蓄積と、連綿と続く研究の伝統をもつ道総研は、日本全体で見ても傑出した科学技術の研究集団です。北海道という西欧の中規模国家にも匹敵する域圏を持ち、日本国の中でも明確な地域特性を示す、積雪寒冷の涼冷な気候区を持つ広大な地域に、特徴的な伝統を持つ文化文明を育んできた北海道の総力を結集できる、横断的に分野を包括する総合的科学技術研究機関が、日本でも希に見る大きさで動き出したことの意義は大きいと思います。明治の初め黒田清隆が始動した北海道開拓から約一世紀半、戦後の混乱期を経て、道州制が事実上存在可能な北海道で再び、このような総合研究機構が動き出したことの意味を大切に考えたいと思います。
 日本は世界に先駆けて、国民の高齢化と人口減少が始まっています。近代の大成長の結果世界人口は70億人に達し、未だ増える勢いにあります。しかしながら、大成長を続けているアジア諸国でさえも2050年頃までにはすべて高齢化社会に突入し人口減少が始まると予想されています。地球の大きさの限界にぶち当たって、近代成長社会はもうそんなに長くはつづかないようです。その中でも、北海道は他地域を上回る早さで高齢化と人口減少が始まっており、経済の低迷や集落の維持が困難になる地域が早くも出現するなど、近代成長期には無かった様々な困難に出会っています。しかしながら、長い時間軸で見るならば、北海道は土地と水資源に恵まれ、当面のエネルギー供給の困難を抱えているとしても、バランスの良い食、住、自然を持っており、教育・研究に努力を傾注すれば、適度の人口密度を保持してアジアでは高度の文明度・経済力を持続的に発揮できる地域です。
 北海道の再生可能エネルギーの潜在埋蔵量は大きく、石炭ベースのエネルギー基盤を失った現在から、新しい科学技術の開発と新技術の地域展開に努力を傾注して行くならば、再び充分な質と量のエネルギー供給を今世紀の半ばには獲得できるように思います。軽水炉型のU235を燃やす原子炉も石油/天然ガスによる熱/電気エネルギーの大量供給も化石エネルギー/ウランU235資源の枯渇で100年は持ちません。そこに至る間に経時的にその段階に応じたエネルギー・ベストミックスの階段を着実に登り、エネルギー生産/分配の効率化と、利用の際のエネルギー種選択と省エネルギー技術の革新的な構築を広領域で成し遂げ、再生可能エネルギー主体に生きていかねばならないであろう22世紀の共生社会に到達したいものです。エネルギー転換という文明の基盤に関わる問題を、人類の生存に関わる最も基本的な広領域の課題と捉えて、文明の基本を再構築するための努力と忍耐を続けられるかが問われていると思います。近代社会の易々とした生き方を多少顧みる程度や、単に脱原発を願うくらいのことで、再生可能エネルギー主体で生きていかねばならない近代の次の時代の共生の文明(後近代社会、Post Modern Civilization)に行き着けるとは思えません。
 日々の生活の形をしっかりと見直して、住環境、資源利用、教育、食文化、健康福祉、家族・社会構造、経済構造、安全保障などなどを広領域に考えて、半世紀以上の継続的な新文明への努力が、新科学技術展開の全過程を通じて、無駄のない生産技術や消費システムの構築/運用に配慮しながら続けられる必要があります。現代のあくなき欲望を顧みることなく易きに安住するポピュリズムでは、この構造的な危機を乗り切ることは不可能であり、国民の将来を危うくする元と思わざるを得ない心境です。無駄を省く事を常に施策の中心におきながら、新しい課題に立ち向かい、次代の仕組みを着実につくり上げていくのでなければ、新文明への展開の途中で社会は崩壊するでしょう。
 全アジアにわたって食料・水や、エネルギー供給不足が大きな問題になってくると思いますが、その時に北海道の恵まれた自然と適度な人口密度の下で、しっかりとした教育・研究と福祉の体制を整えておけば、北海道は量的成長をひたすら求めた近代の次に来る成熟社会(後近代社会:共生社会)の高価値地域に、極端な困難無しに展開できるでしょう。
 こうした未来を求めて、長期的な視点のもとに英知を結集して『北海道の未来』を描き、産業技術と生活文化を未来志向的に構築する絶えざる努力を続けることが、道総研を始め北海道の大学/研究機関/指導的団体に必要になります。道総研は各分野の専門を融合的に運用して、持続的な努力を長い時間軸で考えることが出来る公設研究機関の特徴を大切に使っていきたいと思います。地に着いた地域の課題に目を配り、問題の本質を摘出し、日々の研究成果を地域に還元して道民の日常の求めに応え、未来への展開の足がかりを築き、新たな知見と技術の創出を図りながら、自らの学問の水準と活力を高め続けていきたいと思います。北海道の行政や市町村の必要と活動に連動し、大学・国の研究機関、様々な企業・業界・NPO、金融機関とも連係を密にし、様々な事柄を学ばせて頂き、北海道民の負託に応える努力を怠らぬようにしたいと思います。道総研は北海道の公的研究機関ですがその大きさと活動している分野の広さからして、北海道民の為の狭義な活動に自らを閉じ込めてはいけないと思います。『道総研』は、北海道が誇る日本有数の総合研究機構であることを忘れず、北方文明圏からの科学技術の発信源であり、日本の北に位置する創成的研究の巨人でありたいと思います。
 道民をはじめとする日本国民、世界の人々のご支援と御鞭撻をお願いして、混沌とした近代末期の世界において科学技術を実学的に展開するパイオニアーになる努力を今年も続けたいと思います。
土木学会誌の2012年6月号にインタビュー記事が掲載されました。
土木学会のご厚意によりこのブログにてご紹介します。

土木学会誌2012年6月号.PDF
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プロフィール
HN:
丹保憲仁
年齢:
91
性別:
男性
誕生日:
1933/03/10
趣味:
カメラ
自己紹介:
・主な経歴
 水の安全保障戦略機構議長
 日本水フォーラム副会長
 北海道大学名誉教授(第15代総長)
 放送大学名誉教授(第5代学長)
 第89代土木学会会長
 第2代国際水協会会長
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