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地方独立行政法人 北海道立総合研究機構理事長のつぶやき
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北海道庁の各部に所属してそれぞれの分野での仕事に特化していた22の研究所を統合した総合研究機構が平成22年に発足して以来、道民のために力を合わせての仕事を進め、これまでの一期の4年をかけて一段ずつ着実に態勢を築いてきました。「少し広めに」「少し長い視点で」を合言葉に、1,100余人の所員は、お互いを知り、助け合って「総合研究機構」の文化を作り進めてくれた事を喜んでいます。


地方独立行政法人の一期は5年となっています。第一期はあと1年を残すのみになりました。4年間の経験を土台に次の10年をどのように迎えるかを、道総研本部と6研究本部の皆さんが連携して一年以上の月日をかけて議論し、「道総研における研究開発の基本構想」としてまとめてくれました。北海道の研究者自身が自分たちの向かう方向を総合的に描いて公にすることは、おそらく開道以来の画期的なことと思います。


 平成264月から、第一期の最後の年が始まります。道知事から道議会の承認を受けた第二期の中期目標が年内に示されると思います。それを受けて、道総研は年度内に中期計画を提出し、計画の許可を得て、平成27年度から、第二期の活動を始めることになります。  


第二期は、総合的に研究を進める能力を獲得してきた一期の成果を土台に、北海道が自立できる産業基盤を形成することを目標にして、総体として十分な意味を持つ仕事を厳選しながら力を結集することになるでしょう。世の中に無駄な努力はないと思いますが、その中で何を具体に事を行うかを、限りある人力と時間、資金と努力限界の制約下で冷徹に何を選び出すかが問われています。「基本構想」を立てることによって、集約された議論の上に先行きを見ることを始めましたが、構想を固定したものとせず、年々議論を加えてより価値ある活動を求めていきたいと思います。先人や自からが積み重ねてきた歴史を基礎に物事を進めることと、過去の慣性のうえに次の事柄を日常的に積み重ねることは違うと思います。その意味で、「道総研の基本構想(2014年)」は意味のあるマイルストーンであると思いますが、道はまだ先がずっとあるわけで、そこで止まっているわけにはいかないと思います。


 研究活動に意味のないものはありません。失敗すらも大きな財産です。努力した行為(input)には必ず成果(output)があります。第一期の仕事にたくさんの成果がありました。然し限定された時間と人で行う努力が、社会(北海道民)の必要の枢要な部分に確かに及んでいるかということの吟味が十分であったかどうか、二期目の研究課題の選定に当たってはさらなる努力の必要がありそうです。研究遂行にあたって、時間がない、金がない、道具がないというのは普通のことで、研究者にとって一番の困難は行う研究が本当に価値のあるものかどうかが解らないことにあると思います。研究者は、自分の行っていることが客観的(相対的)にどの程度の意味のあることかを知りつくしたうえで、研究を進めることは難しいのが普通です。だからと言って、簡単に成果の出るような研究ばかりでは、世の役にほとんど立たないことを研究者自身がすぐに悟ることになります。それ故に、研究課題をより適切なものとして設定することに事前にそそぐべき努力が重要です。研究に投入する人力、時間と資金に対して、なすべき研究を選び出す段階に投ずる努力が少なすぎると思うことがしばしばです。課題が適切に(絶対はあり得ませんが)設定されれば、成果は失敗であれ成功であれ価値を持つものになるでしょう。


研究所長、企画調整部長。研究部長、主幹などの科学・技術・社会経験を積んだ研究幹部の役割が重要になってきます。研究幹部が、何が出来るかという視点のみで研究をリードすると、その組織は年月を経ずして不能になってきます。何が必要で、その課題についてどのような成果が社会から求められていて、その達成にはどのような手順とどのような人と金の投入が必要かということが、研究開始に先立って研究リーダーとなる人々が考え切るべき課題です。またいつまでに何を目指すかという時間感覚も、自然相手の時間スケールの長い課題を持つことの多い我々の研究機構ではきわめて重要であり、一般の理解とはかえって逆のように思います。上位のリーダーほど、研究者としての長い蓄積に基づいた、総合的な判断と説得性のある指導力の発揮が期待されます。現代のような計測技術が日進月歩の時代、最先端の研究技術を持つ多くの若手が研究所で育ってくるはずです。何を学ぶか、また何を新たに学び加えるかを若手に示すためには、研究所幹部の日々の研鑽と総合的な新知見の獲得が重要であろうと思います。


詳細のことは措くとしても、21世紀の現代における科学技術展開の主体は、大小を問わず明確な目的を持ったシステムの構築にあると思います。要素技術の発見発明は1920世紀にその大方が成し遂げられました。科学技術のパラダイムとして個々の学問体系は20世紀までにおおかた構築されてきました。近代の高等教育機関の学部学科システムはそれを実用すべく造られた最も普編的な近代の縦割りの技術体系とその要素科学の習得手段です。現代にいたるまでこのシステムは問題をはらみながらも代替手段がうまく構成できず継続し、道総研のほとんど全部の研究者もその流れの上で基本的な個々のパラダイム訓練を受けて人となってきました。20世紀に人類が獲得した最大の科学概念は「システム」であり、20世紀までに獲得した人類の科学の基礎知識を21世紀の人類はシステム的に地球上にあまねく展開していくことに、活動の基軸を置くことになっているように思います。


我々の研究機構でも、パラダイムとして獲得された19~20世紀科学技術を、さらに上位の明確な目標に結合させて、過飽和に近づいている地球人類が過去にない環境条件(過飽和/大競合)の下でも静穏に暮らしていくため(Sustainableは最小限の目的と思います)に、適切なパラダイムの組み合わせの上に、具体的に活動していかねばならないと思います。活動最前線にいる中堅の研究者には、自らの持つパラダイムの複線化を直ちに心がけてほしいと思いますし、若手には学んだパラダイムを実用レベルで活用しその有用性と不十分性を実感してほしいと思います。研究リーダーには複数のパラダイムがどのように組み合わさってことが進行していくかを、新たに学び進めてほしいと思います。概論でもいいと思います、異なるパラダイムの学問を(学問分野と考えてもよい)、学部課程の入門レベルの基礎テキストに戻って学んでみてください。様々な分野の熟達の士が、もう一つか二つのパラダイムの初歩を学ぶことによって、その研究機構の未来への展開は望みに満ちたものになると思います。


道総研の第二期の展開を、研究リーダーの方々の括目した新学習の成果に求めたいものと期待しています。第一期では「少し広く」「少し長めに」「力を合わせて」をみんなで努力していただき、新生総合研究機構の姿がだんだんに固まってきました。第二期はリーダーシップ確立の展開を、研究指導者の率先的な新学習に求め、中堅がそれに続き研究の活動を誰が見ても自律的に展開できる組織であると、道民から信頼される様になりたいと思います。そのことによって、英気あふれた新人が道総研を目指して加入してきて、大学で習ったそれぞれのパラダイムを基礎に、さらに新たなパラダイムを獲得し、リーダーとして新時代を開くための活動を活発に進められる研究者となり、ついには複合パラダイムを持った重鎮に育って研究機構を運用していっていただけるように成るものと願っています。


小生もこのような夢を持って、老骨にムチ打って第2任期をお引き受けすることにいたしました。今81歳ですから、生きて働いていければ85歳までということになります。各研究所に優れたリーダーが次々と現れてくることを夢見ています。研究リーダーの皆さんと、マルチパラダイムリーダー、新時代のシステム創生者の出現に向けて一緒に努力したいものと思います。

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丹保憲仁
年齢:
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性別:
男性
誕生日:
1933/03/10
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カメラ
自己紹介:
・主な経歴
 水の安全保障戦略機構議長
 日本水フォーラム副会長
 北海道大学名誉教授(第15代総長)
 放送大学名誉教授(第5代学長)
 第89代土木学会会長
 第2代国際水協会会長
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