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一般財団法人北海道河川財団会長 北海道大学名誉教授(15代総長・放送大学名誉教授(5代学長))
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平成22年(2010年)4月に、地方独立行政法人北海道立総合研究機構(略称:道総研)が、それぞれ長い歴史を持つ22の道立試験研究機関を統合して発足し5年がたち、第一期を終えて、この平成27年(2015年)4月から第二期の活動に入りました。

最も古い歴史を持つ畜産試験場(明治9年北海道開拓使)に始まり、明治・昭和・平成と長い間北海道の産業と行政の諸領域の基礎を支えてきました。そして技術の開発と普及に努めてきた農業、水産、林業、工業、食品、環境、地質、建築の各分野の22の研究所に所属する1,200名を集めて、総合研究機構が独立行政法人として仕事を始めました。

目的は、北海道の科学技術の基礎を総合的に固め、歴史的に個々の分野で積み重ねてきた業績を、北海道の諸地域と諸産業の新時代に向けての持続的な活動に有効・的確に展開することにあります。創設期の5年間は「少し広めに」「少し長めに」「みんなで力を合わせて」を合言葉に、総合研究機関としての実態を創りだすべく努力を重ねてきました。

この小冊子で皆様にご報告するのは、道立の研究機関から発進した道総研が5年間の第一期にしるしてきた足取りのいくつかについてです。道総研の研究活動の終局の評価は地域の人々(道民)にどれだけ役に立つ仕事が出来たかです(研究のOutcome)。「各分野の研究者が力を合わせ」、「目の前のことだけに振り回されることなく」「持続可能な北海道の未来への道筋となりうる事柄」の研究・普及活動について、専門性を外すことなく総合化する努力を始めてきたつもりです。まだ努力は緒に就いたばかりですが、5年間の私たちの足取りを見ていただき、おぼつかなさがたくさん残っていると思いますが、道総研の一同が志すところを感じ取っていただけると幸いです。

「力量が不十分なこと」「時間がないこと」「金のないこと」はあらゆるレベルの研究者・科学者・技術者にとって常のことです。何かを誠実にすれば必ず見合った結果は出ます(InputとOutput)。しかしながら、その努力が価値のあるものであるか、選んだ課題が研究者の生涯の努力を傾倒するに足るものであるか、が問題です。単なる研究努力(Input)の出力(Output)でなく、道民の未来につながる重要な成果(Outcome)につながったかどうか、多額の税金をいただいて道総研の研究者にしかできない北海道の未来のための努力をしてきたか、が問われます。

道民の皆様に、この小冊子によって道総研の成果の幾つかを見ていただき、「何事が行われたか」、「大きく足りないものはないか」、「本当にほしいものに触れているかどうか」についてご意見をいただけたらありがたいことと思います。

第二期は、総合力を高めながら、北海道のために、日本のために、何を志して働くかが真に問われる5年になると思います。

現代世界の混沌は、すでに近代文明の最終段階に突入した先進地域(G7の国々:閉環境・循環型技術で成熟を目指す領域)とまだ近代化を求める国々(19~20世紀型の拡大成長を求める途上国家)、さらにはいまだに前近代的構造を残している地域(部族社会や独裁国家)が地球上に混在して、地球上の諸地域が、歴史的時間軸上で非対称になっていることに起因しているように思います。

わが北海道は、長い時間軸(歴史未来)で考えると、農・水・林のバランスがよく、教育環境も整い、適切な交通手段とエネルギーの安定供給を確立することができれば、アジアで最も高い文明度を持って持続可能な社会を作りうる地域です。2050年には成長著しいアジア地域も人口ピークを迎えるようになり、高齢化が進み、次いで急速な少子化が後を追います。食糧・水・エネルギー・福祉の基本的な地域サービスの供給も困難になります。その時にすでに自立を果たしているはずのわが北海道の先達としての文明価値は大きなものとなるでしょう。

こうした未来を見据えて、道民の英知を集め「北海道の未来」が、近代をやがて卒業しなければならない21世紀後半のアジア世界を導く、灯になれるよう努力を始めたいと思います。そのための未来社会の基本価値がどのようなものであるか、傾注すべき課題はどのようなものであるかを問いながら、歴史的時間軸を過去・現在・未来としっかりと意識して、道総研の総合力と課題解決の基本的能力を磨いていきたいと愚考いたしております。道民の皆様のご支援とご鞭撻をお願いいたします。

道総研 第1期成果集のページへ
  冊子の閲覧、ダウンロードができます《PDFファイル》


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プロフィール
HN:
丹保憲仁
年齢:
91
性別:
男性
誕生日:
1933/03/10
趣味:
カメラ
自己紹介:
・主な経歴
 水の安全保障戦略機構議長
 日本水フォーラム副会長
 北海道大学名誉教授(第15代総長)
 放送大学名誉教授(第5代学長)
 第89代土木学会会長
 第2代国際水協会会長
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